04【患者口腔内タイプ分類 ~Cタイプ・Pタイプ・パワータイプ】

日々の臨床の中で、初めて担当する患者さんの口腔内を見たとき、「この方はどのようなリスクを持っているのか」を意識して観察しています。

みなさんはいかがですか?

私は、日常臨床の観察を整理するために、患者さんの口腔内を大きく3つのタイプとして捉えています。

Cタイプ(う蝕優位型)

Cタイプは、う蝕のリスクが高いタイプです。

例えば:

・新しいむし歯ができやすい
・根面う蝕が出やすい
・補綴物の周囲から再治療になりやすい
・間食や食事時間の影響を受けやすい
・唾液量の影響を受けやすい

このタイプでは、生活習慣、食事タイミング、、セルフケア、フッ化物の使い方が重要になります。

つまり、細菌と生活リズムの影響を強く受けるタイプです。

Pタイプ(歯周病優位型)

Pタイプは、歯周病の炎症が主体となるタイプです。

例えば:

・BOPが多い
・歯石沈着が多い
・ポケットが改善しにくい
・同じ部位に炎症が残りやすい

このタイプでは、炎症のコントロール、セルフケアの質、必要に応じたSRPやデブライドメントなどによる炎症コントロールが重要になります。

つまり、炎症のコントロールが中心になるタイプです。

パワータイプ(力の問題優位型)

私はもう一つ大切な視点として、

力(噛みしめ・歯ぎしり)を重視しています。

例えば:

・咬耗が強い
・楔状欠損がある
・補綴物が壊れやすい
・特定の歯だけ悪化する
・動揺が改善しにくい
・フレミタスが認められる(咬合時の力の影響が疑われる)

※フレミタスとは「動揺まではいかないけどわずかな振動」のことです。
「目に見える炎症(P)だけでなく、指先に伝わる微かな振動(フレミタス)に耳を澄ませること。それが、『見えないリスク』を拾い上げる鍵になります」

このような場合、炎症だけでは説明できない進行が見られることがあります。

これは力の影響による変化かもしれません。

そのため私は、このような患者さんを「パワータイプ」として観察しています。

患者さんは1つのタイプだけとは限りません

実際の臨床では、

Cタイプだけ
Pタイプだけ

というケースばかりではありません。

例えば:

Cタイプ+Pタイプ
Pタイプ+パワータイプ

のように、複数の要因が重なっていることも多くあります。

特に、歯周病がなかなか改善しない患者さんの中には、

炎症だけでなく力の影響が関係しているケースも少なくありません。

また、PCRが下がらない患者さんは「やる気がない」とは限りません

何度保健指導をしても、PCRがなかなか改善しない患者さんがいます。

でもそのような患者さんの中には、

1〜2か月ごとにきちんと通院を続けている方もいます。

これはやる気の問題ではなく、

口腔内の条件や生活環境など複数の要因が重なっている可能性があります。

例えば、

仕事が遅く
夕食が遅い時間になり
疲れて歯みがきをせず眠ってしまう

という生活リズムの方もいます。

このような場合、生活リズムそのものがリスク要因になっていることがあります。

大切なのは「努力の評価」ではなく「リスクの理解」

患者さんはそれぞれ違う背景を持っています。

だからこそ、もっと磨いてくださいではなく(ホントは言いたいけど😒)

その方の生活の中でできる方法を一緒に考えることが大切だと感じています。

私はこのように、カリエスタイプ、歯周病タイプ、パワータイプと、大きく3つに分類しますが、

この分類は診断のためのものではなく、歯科衛生士が日常臨床の中で予防介入を考えるための観察モデルとして

整理しています。

このように患者さんの口腔内を「細菌」「炎症」「力」という3つの視点から観察していくと、同じように見える症例でも、必要な関わり方が少しずつ変わってくることがあります。

私は、このタイプ分類をもとに患者さんごとに予防の方向性を考えながら日常臨床に向き合っています。

次の記事では、この分類をもとに行うPMTCについて整理していきたいと思います。

この分類は特別な検査を必要とするものではなく、日々の臨床の中での観察から整理できるシンプルな視点です。

まずは意識して見ることから始めてみてください。日々の診療の中で少しずつ実感できると思います。

哲学 名言

             『理解するとは、許すことである。』

                       ~スピノザ

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この記事を書いた人

くかる|歯科衛生士(臨床歴16年) 糖尿病予防指導認定歯科衛生士

「ただ口腔内を掃除する」のではなく、口腔内を一つの「生態系」として捉え、その環境を整えるアプローチを追求しています。

重視しているのは、丁寧な観察と構造の理解。歯科衛生士の仕事を通じて、患者さんの健康という「未来」をデザインすることにやりがいを感じています。

現在、孤独に奮闘しながらも真面目に臨床を語り合える仲間を集めるべく「DHラボ」を運営中。本質を求める仲間との出会いを心待ちにしています。

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